「清水さん、連れてきてくれてありがとう。」

クラスの奴らに囲まれている雅さんを見ながら、こそっと伝える。

「ふふっ面白かったよ。

自分のクラスやのに、様子伺いながら入ろうか入らんか迷ってるねんもん。」

そうやったんか・・・

早く入ってこればよかったのに。

遅れたっていう申し訳なさでもあったんかな。

「それで声かけてくれたんやな。」

「うん。恋敵やけどね。」

恋敵って・・・

「言っとくけど、雅さんとはホンマにただの友達やからな?」

「みたいやね。」

「え?」

「坂井くんの表情でわかる。

でも、やったら坂井くんの好きな人って誰なんかな・・・。」

「好きな人おるなんて言った?」

清水さんとはそんな話してないよな。

雅さんとはあったけど。

「坂井くんを好きな女の子なら、見てたらわかる。

たぶん自分じゃだめなんやろうなって。めっちゃ好きな人がおるんやろうなって。」

俺を好きな女子なら・・・

そう言われて、前に雅さんから言われた言葉を思い出す。

雅さんは、俺が葵のことを好きやって言い当てた。

「俺ってそんなわかりやすい?」

「ううん、そうじゃなくて。

坂井くんを好きやからわかるねん。よく見てるから。」

俺を好きやから、わかる・・・?

清水さんは、にこっと笑って他の奴に席に案内された。