「雅さん?どしたん?」

電話の相手に問いかける。

葵の視線を感じた。

けど、今はどうして彼女が急に、しかもこんな時間に電話なんかしてきたのか、そっちの方が気になる。

「・・・っ。」

え?

泣いて、る・・・・?

「今どこ?」

雅さんのところに行かなあかん気がした。

彼女が、こんな時間に電話してまで俺になにかを伝えたがってる。

会って、聞かなあかん気がする。

葵の発言の理由も気になるけど・・・。

聞きたい、けど。

雅さんの、あの無理して笑う笑顔が脳裏をよぎる。

強がりな彼女が、こんな時間に一人で泣いてる。

今は、俺の気持ちより
雅さんを優先や。

「い、ま・・・っ、N谷公園にいる・・・。」

あのでかい公園か・・・。

確か、雅さんの家もそっちの方とか言ってたな。

「わかった。」

俺はそれだけ言って電話を切った。

そして、急いでスウェットから着替えはじめる。