なんで俺じゃあかんねん

なんやねん。その顔。

はじめて見た。

葵は、目をうるませて、頬を蒸気させて、唇を少し震わせながら
まっすぐに俺を見ていた。

ずいぶん長い間・・・俺は葵のいろんな表情を見てきて
ずっと一緒にいたけど

こんなん初めてや。

心臓が高鳴る。

こんな高鳴り方も、初めて。

おまえは、どんなつもりでその一言を言って、そんな顔してるん?

おまえにそんなつもりなくても
俺は、おまえの一言や、表情に、こんなに期待して、高揚している。

だって、葵が俺の好きな奴を気にするって。

ただ、姉として気になるだけなんやろう。
絶対そうやろう。

でも、それでも・・・もしかしてって。

そう思ったら、心臓はまた強く脈打つ。

そして、俺の男としての本能を・・・
抑えきれなくなってくる。