なんで俺じゃあかんねん

葵は「なにそれ、意味わからん。」とかなんとか言いながら、俺の横に来て
俺と同じように壁に体をあずける。

「なんなん?」

「なにが?」

今日はやけに、そばに来るっていうか・・・。

ちらっと葵を盗み見る。

前も思ったけど、色白いな・・・
あと華奢やし、腕ほそいし。

こんなに弱そうなくせに、なんで気だけは強いねん。

葵との距離はだいたい掌二つ分。

手をのばせば届くのに、のばすことなんてできんくて
もどかしい距離。

くっそ・・・。

人の気も知らんで・・・。

「ハル。」

「ん?」

葵の方は見ない。

「ハルもうちのクラス来てな?」

「時間あったらな。」

「なんでよ!私は行くのに。」

「だから頼んでないし。」

「いいやん別に~感じ悪いな~。」

はあ?

イラッとして、葵の方を見ると
なんかちょっと寂しそうにしてて、結局なんも言えん。