なんで俺じゃあかんねん


その夜。


よくよく考えたら、今日はふたりきりだ。

これまでにも何度もこういう夜はあった。

けど、気持ちを自覚した後では今日がはじめてだ。

気持ちの持ちようで、こんなに気分がちがうのか・・・


葵は鼻歌を歌いながら夕食をつくっている。

なんやねん、おまえは新妻か!

ってちゃうな。おまえは姉ちゃんやな。

わかっていながらも、ちょっとテンションがあがってまう自分がはずかしい。



「ハル~。スプーンと、コップとか並べといて。

もうちょっとでできるから。」

トマトソースのにおいがリビングにひろがりはじめた頃、葵がそんなことを言った。

言われたとおり動く。

時刻は7時半くらい。

「オムライス?」

「うん!あと、スープも。」

葵はポタージュスープの類が得意。

オムライスは、ときどき失敗する。

これは、たぶん高校では俺しか知らないこと。

ちょっと優越感に浸ってみたり。


「よっと!うわっ上手くいった。

はい、これハルにあげる~。」

綺麗にまけた方を俺にくれる。

「持っていって、先食べてて。」

「ありがとう。」

キッチンから自分の分を持ってきて食卓に座った。