父が帰ってきたその夜。 わたしは、組から抜けるための除籍を父に求めた。 いつものように父の横には母が無表情で立っている。 除籍には代償として、断指をすることは知っていた。 抜けていく組員たちが、その切った自分の指を父に差し出しているのを見たから。 わたしもここから抜けられるのであれば、それくらいは覚悟していた。