わたしが父に殴られようが、ドラッグを無理やりさせようとしていたときでさえ父のとなりでなにも言わなかった母の声を、初めてまともに聞いた瞬間だった。 「それって...どういう....」 そう聞き返すわたしに、母はそっと紙切れをもたせた。 それだけでもう母はなにも言わず、わたしの部屋から去っていった。 静かになった部屋で、わたしの紙切れをひらく音だけが響く。