「ねぇ~おーきーて~」
カン高い声の彼女…
「后ちゃん…?」
起きるの早いね…
まだ寝てたいよー
「うっ…うぐっ…」
泣き出した彼女…
チュっ
彼女の泣き声しか
ない空間に
リップ音が
こだました…
「泣かないで…俺はなにもしてない…」
「ホント?…ありがとう…」
「家に帰りたくないの…?昨日さぁ、なんか殺されるとか言ってたけど…」
「…」
「話したくないならいいよ」
「話す…でも私を嫌いにならないで…」
「ならない」
「…えっと私、9才離れた姉がいるの…
私 有明商事ってとこの
次女で…ずっとお姉ちゃんの代わりをしてたの…
いつ殺されてもいいように…
お姉ちゃんは自由を満喫してた…
でも、私は自由じゃなかった…
たとえ…昼はお姉ちゃんのかわりでも…
夜は両親は私と一切口を利かない…
誰も私を必要としてないと思ったの…
だから高校をでて
大学は寮にはいった…
これで自由になれると
思ったのに…
…うっ…うぐっ…」
有明商事って
そんなことしてたのかよ…
確かに俺の元婚約者は
有明商事の長女
岬さんだった…
でも俺は年上嫌いだからって理由で断った…
后ちゃんは妹か…
でも顔が全然違う…
こっちの方が絶対可愛い
ギュッ
「へっ///」
「なにも考えなくていい…寮にはまた誰か来るんだろ?」
「…うん…」
「ここにおいで…」
「へっ…でも…私貴方の名前も知らないし…」
「いくらでも教えてあげる…」
「…迷惑じゃない?」
「全然っ。ここの家が嫌なら引っ越す?…俺も実家の病院継ぐし…」
「病院っ?お医者さん?」
「あっうん…下和雅美っていうの。病院は東野総合病院…あっ后ちゃんの行ってる大学の系列かな…」
「…東野?あの東野…やっぱ行きません…」
「来なよ…大学は遠くなっちゃうけど…セキュリティもつけるし…部屋も用意する…」
「そっそんな…ダメだよ…」
「俺はキミが欲しいから…甘やかしてあげたい…」
へっ///////
「えっでも…」
「荷物まとめたいね…今日しようか…俺は今日休むし…大学は大丈夫?」
「はい…」
「いこうか…」


