ライラックをあなたに…



「一颯の事がそんなに好きか?」

「へっ?」


突然、カウンターの中から大将が声を掛けて来た。


………好き?

はっ!?

もしかして、私、そんなにもじっと見つめてたの?

大将が勘違いするくらい彼の事を……。



「あぁ~もう~、大将、余計な事を言わないで下さいよ~。せっかくイイ雰囲気だったのに~」

「おぉ、悪かった悪かった。もう邪魔しないから……」

「ッ?!」


大将は楽しそうに店の奥へと姿を消した。


………もしかして、からかわれたの?



「フッ。寿々さん、真に受けなくていいからね?あれ、大将の冗談だから」

「ッ!!」



やっぱりそうなんだね。

変な汗掻いちゃったじゃない。


けれど、2人のお陰で重苦しい気分が少し晴れた気がする。


ありがとうね、一颯くん。

ありがとうございます、大将。




その後は他愛ない話をしながら、閉店の0時を迎えた。




裏口から表に出ると、