ライラックをあなたに…



「おいっ!!そこはどこだ?!今すぐ迎えに行くから!!」



電話越しに嫌でも嫌悪感が伝わって来る。


俺は早々に話をつけようと、自宅マンションの場所を教えようとした、その時!!


―――――――昨夜の通話を思い出した。



この男は彼女を捨てた奴。

それも、ボロ雑巾のように……。



「もしもし?おい、聞いてるのか?!そこの住所を教えてくれ!!」


声を荒げて、理不尽な事を口にする男。

しかも、当然のように上から目線で。


……無性に腹が立って来た。


『バイト』をしていると発した事で、俺が学生であると認識した筈。

仮にも、彼女を助けた相手に『お前』呼ばわり。


そんな男相手に、俺は横で眠る彼女に視線を向けると……。

酷いほどに化粧崩れし、ぐったりとした蒼白い顔の彼女が。


こんなにもボロボロになるほどに、この男の事を愛していたのか……。



けれど、彼女の想いは……――……。