「寿々さんは昨夜、俺のバイト先で酔いつぶれ、閉店時間になった所でお引き取りをお願いしました」
「………それで?」
俺を怪しんでいるのか、男の声がワントーン下がった。
「歩く事さえままならない程に酔っていたので、気になり、後を追うと…」
昨夜の光景が脳裏に浮かび、俺はゆっくりと瞼を閉じた。
そして、見たままの出来事を伝える事にした。
「寿々さん、思い詰めた表情で歩道橋の上から……身投げをしようとしてました」
「えっ?!」
「勿論、俺は慌てて止めました。彼女はすでに意識朦朧としていて……」
「…………それで?」
「怪我している訳ではないので病院には連れて行けないし、警察へ連れて行こうかとも思いましたが、俺の自宅の方が近かったので、とりあえず、自宅へ運びました」
「ッ?!かっ、彼女に変な真似はしてないよなッ?!」
物凄い剣幕で捲し立てられ、さすがの俺も苛立ちを覚えた。



