ライラックをあなたに…



ニコッと微笑んだ彼が手渡したのは、軍手1組と小さなスコップ1つ。


えっ?これって……まさか?!



「い、一颯くん?」

「ん?」

「身体で払うって……」


目の前でビニールシートを広げて、鉢植えの土を入れ替えている。


「フフッ、正解」


手元の鉢植えを指差し、ニコッと。


「えぇ~~っ?!!」


にこやかな彼を目の前に恥かしさが込み上げて来る。

わっ、私、1人で何を勘違いしてたの?!

私はてっきり……アレをするものかと……。


「ププッ……そんな所に突っ立ってないで、こっちおいで」



彼が手招きしている。

死にたいほど恥ずかしい。


もう、彼の素振りを見れば分かりそうなものなのに……。

私の心が荒んでいるせいか、あらぬ方向に解釈しちゃったじゃない。


あっ、でも、『身体で払って貰おうか』なんて言われたら、誰だって勘違いするわよね。