ライラックをあなたに…



耳まで真っ赤に染めた私を弄んでいるのか。

再び、笑いを堪えている。


本当に二重人格みたい。

さっきまであんなに紳士的だったのに、豹変するとはこういう事なのね。


彼の腕の中で小さなため息を零すと、


「寿々さん、何か勘違いしてるみたいだけど」

「……へ?」

「何を想像してるのかは、敢えて聞かない事にする」


彼は笑いを堪えながら、私の両肩をポンポンと叩き、


「これに着替えて、ベランダに来て」

「へ?」

「フフッ、来たら分かるよ」


彼は含み笑いをしながら、ベランダへと姿を消した。



―――――えっ?どういうこと?

まさか、白昼堂々ベランダで?!

いやいやいや……だったら、この服は要らないでしょ。


私は訳も分からず、手渡された服に着替えた。


Vネックの黒いTシャツとグレーのハーフパンツ。

脱いだ白いYシャツをベッドの上に置き、恐る恐るベランダへと歩み進めた。