ライラックをあなたに…



「なっ、何?私が覚悟を決めた途端、今さら止めるとか言わないわよね?」


自慢の脚をけなされた感じがして、ムッとした。

そりゃあ、『綺麗』と言われたからって、所詮は恋人のお世辞だって事も重々承知よ。

だけど、鼻で笑う事ないじゃない?



「あっ、もしかして、こういうガツガツ女は嫌い?」

「えっ?」


冷静になって考えてみれば分かること。

女性からガンガン迫られるより、恥じらいがある女性の方がいいに決まってる。



堂々と曝け出しているこの格好で、今さら後悔しても遅いのだけれど…。


困ったような呆れたような表情を見せる彼。

そんな彼をじっと見据えると、


「フフッ……いや、女性から迫られた事が無いから分からないけど…」


口元を手で押さえたまま笑いを堪えている。

何?私、そんなにガツガツしたかしら?

……失礼しちゃうわ。



「一颯くん、シャワー借りるわね」


私は彼をその場に残して、ドアへと1歩踏み出した。

その時―――――、