ライラックをあなたに…



「寿々さん?」

「へ?」


突然、頭上から声が降って来て、思わず振り仰ぐと、優しい笑みを浮かべた彼がそこにいた。


「スープ出来たよ?」

「へ?」

「何か口にした方が良い」


そう言って、彼は野菜スープが入ったカップを差し出した。


「ゆっくり食べて」


ニコッと微笑んだ彼は再び机と向かった。


「ありがとう……本間さん」

「一颯でいいよ」

「え?」

「多分、俺の方が年下だろうし」


私の方に視線を向け、そう呟いた。


「そう……ね。じゃあ、一颯くんでいい?」

「ん」


再びニコッと微笑んで小さく頷いた。


私は彼の勉強の邪魔をしないように、静かに野菜スープを戴き、再び本を読み始めた。





どれくらいの時間が経ったのだろう?

気が付くと、足元に彼がしゃがみ込んで私の顔を覗き込んでいた。


「なっ、何?!」

「フフッ、凄く集中してるようだから気になって」

「ッ!!そ、それは…」