ライラックをあなたに…



本棚には、緑地植物学Ⅰ・Ⅱ、造園・樹木Ⅰ・Ⅱ、農薬利用論等の他に、土壌、肥料のしくみ等、同系の書籍がずらりと並んでいる。



私はその中から比較的薄めの本を手に取った。

『土の作り方・肥料の使い方』と題された本。


中をペラペラと捲ると、所々に図やグラフ、表等が記載してあるがこれもやっぱり専門書のようだわ。



これだけの本を眺めると、彼がどれだけ好きなのか、という事が伝わって来る。


仕事で目指すならプロの域。

趣味で読むなら病気の域だわ。



私はそんな事を思いながら、その本を手にしてベッドへ腰かけた。

ベッドサイドに置いたディルから爽やかな香りが漂って来る中、吸い込まれるように読み始めた。



私が手にしたこの書籍は入門書のようなもので、『土とは何か?』から始まり『土の役割』『肥料の必要性』等、とても分かり易く記されていた。



読めば読むほどのみ込まれてゆく。

植物の世界の一端に触れているかのように。




我を忘れて夢中に読み耽っていると、