ライラックをあなたに…



何だか、調子が狂ってしまう。

あどけない少年の素振りを見せたかと思えば、急に大人っぽい表情を見せたり。

掴みどころのない人。



それに謎だらけで、考えただけで頭が混乱する。


そもそも、私の名前をどうやって知ったのかしら?

酔ってる時に自分で言ったのかしら?

それに、飛び降り自殺を止めた後、警察に届ける事も出来ただろうに何故、自宅へ?


やっぱり、身体が目的なのかしら?

ううん、それなら自宅へ連れ帰って押し倒す事も出来たはず。

幾ら、私が具合が悪そうにしてたからって、身体が目当てなら着替えさせたり、看病みたいな事はしないはず。


それに、植物の事もそう。

彼は『目指す』って言ってたけど、植物学者にでもなりたいのかしら?



ふと、彼が先程まで座っていた机に目を向けた。

机の本棚には難しそうな書籍がずらりと並んでいる。

ぎっちりと埋め尽くされ、彼が勤勉家だという事が窺える。



私は重い身体で、その場へと足を運んだ。