ライラックをあなたに…



「今の時刻、午後1時を少し回ったところ」

「……へ?」

「寿々さんが寝ている間にお昼を過ぎたんだ」

「……えぇっ?!」


どうしよう!!

会社を無断欠勤してしまった。

私は慌ててベッドから下りようとすると、


「寿々さん、落ち着いて!!」


私の両肩を掴んで宥める彼。


「落ち着いてなんてられないわよ。私、会社を…」


彼の腕を振り解こうとすると、


「寿々さんには悪いけど、寿々さんが寝ている間に携帯に電話が掛かって来たんだ」

「えっ?」

「会社の人だって言うから、『具合が悪くて行けそうに無い』と伝えた」

「………」


彼は申し訳なさそうに私の腕を優しく擦って…。


「ごめんね。何度もしつこく掛かって来た電話だったから、仕方なく出たんだけど…」

「……誰……から?」

「………」


急に口を噤んだ彼。

私の瞳をじっと見据えて、小さくため息を零した。