ライラックをあなたに…



「寿々」

「……」

「ごめん」

「……ん?」


消え入りそうな声で呟く彼は、辛そうに表情を歪めた。


何に対して『ごめん』なのか、私には分からない。

小首を傾げて、次の言葉を待っていると……。


「もうこれ以上、君を愛せない」

「…………へ?」

「寿々とは結婚出来ないんだ」

「………」


彼の口から意味不明な言葉が漏れてくる。

私の耳がどうかしてるの?

それともこれは夢か幻聴か……?


呼吸も瞬きする事さえ忘れ、目の前の彼をじっと見据えた。


「婚約も解消して欲しい」

「………」


侑弥さんは何を言い出しているのかしら?

冗談にしては度が過ぎる。

真剣な顔して、役者顔負け。


「もう、冗談はタチが悪いわよ?」


私は苦笑しながら、意地悪く彼を睨んだ。


すると―――――、