「侑弥さんに未練がないなら、お見合いを………してみない?」
「え?」
「実はね、お父さんの部下で、とっても良さそうな人がいるらしいの」
「………」
「寿々の破談の事も勿論知ってるし、何も気負わなくていいらしいのよ」
「………それで?」
「1度、………会ってみない?」
「………」
母親は私の顔色を窺うように覗き込んで来た。
お見合い?
私ももうそんな歳なのね。
今はまだ、恋愛とか結婚とか考えている余裕がない。
年齢から考えたら心配になる両親の気持ちも分からなくはないけど、まだ27歳だし。
世の中、晩婚化の時代で27歳なんて早い方だと思うけど。
でも、両親からしてみれば、1日も早く孫の顔が見たいのかもしれない。
………私が1人っ子だから。
子供を産むなら早い方がいいのも分かってる。
だけど………。
母親から視線を逸らし口を噤んでいると、
「結婚って、必ずしも恋愛結婚じゃなければならないって事は無いでしょ?」
「へっ?」
「お見合いで知り合った人と結婚して、時間と共に情が湧くって事もあるわ。……お母さんのように」
「…………うん」



