ライラックをあなたに…



6月下旬、正式にカフェスクールに受講申し込みをした。

最短だと2カ月で取得出来るみたいだけど、私には土台がない。

菓子専門学校を出た訳でもないし、調理専門学校を出た訳でもない。

だから、スピードクラスは無理だと判断した。


私が通うのは5ヶ月コースの平日クラス。

一颯くんのマンションから電車で5駅。

割と近くて助かった。


それと、生活費を捻出する為にアルバイトを始めた。

水木土日の週4日、居酒屋『源ちゃん』で働かせて貰う事に。


スクール上がりで『源ちゃん』に行くと、女将さんがこっそりおにぎりをくれる。

子供がいない2人にとって、私は娘みたいで可愛いらしい。

そんな風に思って貰えるだけで有難い。


一颯くんが助けてくれたお陰で、こうして素敵な人達と巡り会えた。


もうすっかり、日に焼けてる頃かしら?

時折、一颯くんの事を思い浮かべたりして……。





「寿々ちゃん、悪いね。これを奥座敷に」

「は~い」

「イサキの炙り~あがったよ~」

「は~い!」


7月が終わる頃には、バイトもだいぶスムーズにこなせるようになっていた。