杞憂だったかもしれないけど、とりあえず確認しないと。
私は急ぎ足で一颯くんの家へと向かった。
玄関を開けると、少しモワッとした空気が立ち込めている。
私はその中へ飛び込むように足を進め、室内とベランダに点在する彼の子供達に視線を配った。
「良かった………何ともないよ」
少し土が乾いてる気がするけど、お水をあげれば大丈夫な程度。
昨日実家に泊まってしまったから、丸1日お水をあげなかったせいだ。
一颯くんからは、『枯れてしまっても仕方がない』と言われている。
けれど、毎日彼があんなにも熱心に手入れをしていたこの子達を無下には出来なかった。
私は一颯くんの代わりにこの子達の面倒をみると決めたのに……。
「すっかり忘れてて、ごめんね?」
無意識に語り掛けながら水を撒き始めた。
水を撒き終え、お気に入りのガーデンファニチャーに腰を下ろす。
「一颯くん、今頃何してるかな?」
綺麗に茜色に染まった空を見上げ、独り言を呟いていた。



