ライラックをあなたに…



そんな不可解な行動をしている俺を不思議そうに見つめるものの、寿々さんは敢えて聞いてこようとしない。

まるで、小池教授と同じだ。




食事を済ませ、お風呂に入る際も脱衣カゴの上に置いている始末。

本当にどうしたらいいのか、分からない。



洗い終わった俺は、浴槽に浸かりぼんやりと天井を眺めた。


決して大きくない浴槽だが、俺的には気に入っている。

半身浴が出来るようにステップ付なのだ。


論文で行き詰った時や研究で一息入れたい時など、ハーブを湯船に浮かべ半身浴する。

そうする事で脳のリフレッシュを図る事が出来る。


今日はそんな気分だった為、贅沢にも湯量を半分にして腰掛けた。


足を伸ばし、腕を組んで、瞼を閉じる。

そして、自分自身に何度も問いかけた。







「……一颯くん、………大丈夫?」

「えっ?あっ、ごめん、今出るよ」


考え事に集中し過ぎて、相当長湯をしてしまったらしい。

寿々さんが心配になって声を掛けに来た。


俺は湯船から上がり、少し熱めのシャワーを浴びて風呂を出た。