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「一颯くん、………ねぇ、一颯くんってばッ!!」
「あっ?……ごめん、何か言った?」
「もう、ご飯出来たよ?」
「ん~」
今日はバイトを休んだ。
とてもとても行けるような状態では無い。
現に、寿々さんの呼び掛けですら聞き逃すほど、俺は今、完全に大パニック中だ。
リビングのソファに腰掛け、1冊のファイルを握りしめている。
――――そう、これは教授から受け取ったもの。
今日の昼間に教授の研究室で、教授からある提案を受けたのだ。
だが、その提案があまりにもスケールが大き過ぎて、正直実感が湧いて来ない。
教授の下で研究の助手をしながら沢山の学会に出席したり、いろんな場所に連れて行って貰った。
それは、俺が愛弟子という事もあると思うが、この手にしているファイルの内容は、未だかつてないほどの事が記されている。
俺は手にしているファイルをダイニングテーブルの上に置き、食事を摂り始めた。
常に肌身離さず見える所に無いと不安になるくらい、次元違いな内容が記されているそのファイルを見つめながら、黙々と箸を進めた。



