ライラックをあなたに…



―――――挙式1カ月前


時計のアラーム音で目覚めた私は、隣りで眠る彼を起こさないように、静かにベッドから起き出した。


そして、毎日の一連の日課を手際よく熟す。

軽く身支度を済ませて、洗濯し、朝食の準備に取り掛かる。


一通りの家事を終わらせ、キッチンで珈琲を淹れていると、いつものように彼が起きて来た。



「侑弥さん、おはよう」

「………おはよ」


少し怠そうな声で挨拶する彼。

今日は何だかテンションが低い。

いつもと違う雰囲気が少し気になり、彼にその訳を訊ねてみる。


「具合でも悪いの?」

「……いや」

「あまり眠れなかったの?」

「ん?……んー」


歯切れが悪い彼に、ますます心配になる私。


「いただきます」


彼が朝食を取り始めたので、私も席に着いて食べ始める。


「いただきます」


いつもならにこやかな表情で食べる彼が、今日は何故か、あまり箸が進んでいない。

やっぱり、どこか悪いんじゃないかしら?