「ッ?!………こんな時間に………何か、ご用ですか?」
店先の外灯の下にアイツが立っていた。
スーツ姿の所を見ると、会社帰りなのかもしれない。
まぁ、俺にはそんな事、どうでもいい事だが。
俺の姿を確認したアイツは、無表情で俺の元へと歩み寄って来た。
目鼻立ちの整った顏。
ビジネスバッグを抱え、スーツを着こなす大人の男。
背格好は差ほど変わらないが、大人の男が持つ雰囲気は俺には無い。
悔しいが、その点に於いては俺の負けかもしれない。
ただ強いて言うなら、俺には若さとオジサンには無い均整のとれたカラダがある!
俺は迫力負けするもんかと、目の前の男と対峙した。
「今日は、寿々は居ないんだな」
「気安く『寿々』って呼ぶなよ。もう、アンタの女じゃないだろ」
「ガキに『アンタ』呼ばわりされるのはどうかと思うが」
「フッ、大して変わらないのに『ガキ』呼ばわりされるのもどうかと思うけど?」
売り言葉に買い言葉。
真っ向勝負とばかりに視線が交わる。
そもそも、コイツは寿々さんに拒絶された筈だけど?
今更、ここに何の用があるのだろうか?
さっきの口振りだと、彼女に逢いに来たような感じだったが。



