ライラックをあなたに…



「抵抗しなくていいの?」

「ふぇっ?」

「抵抗しないなら、本気でするよ?」

「ッ?!」


彼の瞳が更に怪しく光った気がした。

けれど、どうやって抵抗していいのかさえ、脳細胞が指令を伝達する事を放棄している。


跳ね上がる鼓動とこれ以上無いほどに上気する顏。

自分でも何をどうしていいのか解らない。


瞬きも忘れ、彼の瞳をじっと見つめていると。


「3」

「へっ?」

「……2」

「ッ?!」

「……………1」

「んッ?!!」


彼はカウントダウンしながら、僅か10㎝程の距離を更に縮めて……。

そして、耐え切れなくなった私が目をギュッと瞑ると――――。


柔らかい感触を額に感じた。


彼は唇ではなく、私のおでこにキスを落とした。


やっぱり、彼は誠実な男性(ひと)だ。

無理やりにキスをしたりするような人じゃない。



そんな彼の行動に心の底から安堵した、次の瞬間!!


「えっ……?」