ライラックをあなたに…



キ、キスって……あのキスの事だよね?

唇と唇が触れ合う………やつって事?!


ボンッと顔から火が噴き出してしまうほど、一気に顔が上気する。


だって、好きでも無い人と、そういう行為はしちゃダメだよね?

私達は恋人同士じゃないんだから……。


からかうにしたって、言って良い言葉と悪い言葉がある事くらい彼だって知ってる筈なのに……。



「ちょっ……と……………えっ?」


俯き加減の私の意思などお構いなしに、ソファの肘掛に手を着き、彼はほんの少し腰を上げた。

そして、真っ直ぐ見つめたまま彼の影が降ってくる。


「ちょっ、ちょっと待ってってば」


完全にパニクる私を妖艶な瞳で見下ろす彼。

その距離、僅か10㎝。


今にも鼻先が触れてしまいそうな距離に軽く眩暈が起きてしまいそう。


彼の瞳から逃れる術を知らないとばかりに、熱く見つめられては逸らす事さえ忘れてしまう。

しかも、彼の身体からアルコールの香りが鼻腔を擽り、彼の熱い眼差しに酔っているのか、アルコールに酔いそうなのかさえおぼつかない。



物凄い至近距離で見上げる先には、うっとりするほどの美顔がある。

その綺麗過ぎる美顔に目を奪われていると、