ライラックをあなたに…



「スクーリングと、そのカフェスクール………ここから通えない?」

「へっ?」

「だからさ、資格を取るのに、ここから通えばいいじゃん」

「…………どういう意味?」



彼の言葉に踊らされてしまいそう。

言葉をそのまま受け取ったら大変な事になる。


幾らフリーになったからといって、そう簡単に頷ける事じゃない。


3つも年上で仕事もしてないし、ましてや、つい数時間前まで元恋人と泥沼惨劇を繰り広げていた私に、まかり間違ってもあり得ないシチュエーション。

そんな能天気な展開が訪れず筈なんてないのだから……。



必死に自分自身に言い聞かせる。

彼は私の事を心配しているだけ、過保護的に見届けたいだけだと何度も言い聞かせた。


彷徨わせた視線は自ずと元の位置へと戻り、彼の瞳を真っ直ぐ捉えると。


「ここにいてよ」

「ッ?!」


ダメだ。

脳細胞が仕事を放棄したようだ。


明確な答えが導き出せそうにない。



「えっと、……えぇ~っと………」


完全に狼狽えた私は、再び視線を彷徨わせた。