夢を追いかける事にも快く背中を押し出してくれたし。
あの人と縁を切る時だって、助けてくれた。
私の人生に於いて、これ程までに親身になってくれた人は居ない。
だから、彼にはアドバイス的な助言をいう権利は幾らだってある。
「言いたい事があるなら、何でも言ってよ」
私は真摯な態度で彼の言葉を受け入れよう。
それが、とても難しい事であっても。
それくらい彼が、人間的に尊敬するに値する人だと思えた。
私は伏し目がちな彼をじっと見据えていると。
「………実家に帰って、何するの?」
「え?」
「せっかく通い始めたスクーリングはどうするの?」
「それは、ちょっと通うのは大変だけど、実家から通うつもり」
「じゃあ、その後は?」
「その後って?」
「カフェを開くっていう夢、諦めたの?」
彼の伏し目がちな瞳が射るように真っ直ぐ向けられた。
その視線に応えるようにゆっくりと口を開く。
「ううん、諦めてない。私ね、一颯くんのお陰で気付いたんだ」
「何に?」
「願望を口にしてるだけで、行動が伴ってないって」
「資格を取る為に頑張ってるじゃん」
「うん、でもそれは中途半端なんだよね」



