「酔ってるの?」
「は?」
「飲んで来たんでしょ?」
「今、そんな話してないよね?」
「……だって………」
「だって、何?」
ますます視線が鋭くなった。
私、何か不味いことでも言ったのかな?
思わず視線を泳がせると、
「寿々さん!!」
「ッ?!………はい」
ビクッと身体が反応してしまうほどの声音に無意識に身体が委縮する。
すると、
「ごめん、怒鳴ったりして」
「あっ………ううん、私がちゃんと答えないのが悪いし……」
胡坐を掻いている彼は、溜息を零しながら髪を掻き乱した。
そして……。
「今、俺……理性を欠いてるかも」
「え?」
「寿々さんの人生に、俺が口出しする事なんて出来ないのにね」
「………へ?」
「あぁ~、マジでカッコ悪ぃ~」
再び髪を掻き乱した彼。
何やら1人で自問自答してるみたい。
「一颯くん」
「ん?」
「一颯くんは私の命の恩人なんだから、私のこれからの人生の事、言いたい事があるんなら言ったっていいんだよ?」
「え?」
「だって、一颯くんがいなかったら、今頃こうして笑顔になる事だってなかったもん」
私は心の底から感謝の気持ちを笑顔で示した。



