ライラックをあなたに…



よし!!

思い立ったら何とやら。


私は勢いよく腰を上げ、室内へと向かった。

その表情は明らかにあか抜けている。


人間、執着を捨てるだけでこんなにも世界が輝いて見えるんだね。

同じ景色の筈なのに、昼間見た景色と全く違って見えた。


夜風に揺れる草花が『頑張れ』って、応援しているように見える。

私って根っからのポジティブ思考の持ち主らしい。



思わずクスッと頬を綻ばせ、自分の荷物を掻き集めた。

たった1ヶ月しか住んでいない筈なのに、意外にも私物は沢山あった。



そして、ボストンバッグに次々と詰め込み、潔く荷造りを始めた。





パンパンに膨れ上がったボストンバッグをリビングの隅に置いて、洋和室の掃除を始めた。


深夜という事もあり、掃除機は控え、箒で掃いた後に酢水で畳を丁寧に拭き上げた。

酢水を使う事で畳の汚れを落とし、除菌効果があるらしい。

あの人と同棲するにあたり、母から教わった事が今頃役立つなんて……。

そして、仕上げに乾拭きして、畳は終了。


よし、次は窓掃除!!


私は次々と掃除を施して行った。