ライラックをあなたに…



今にも泣きそうな表情の彼。

言葉の真相は分からないけど、今まで見た事も無いくらいの真剣な表情。


切願されるとは思ってっもみなくて、返す言葉が見当たらない。



「寿々を愛してるんだ」

「………ッ………」

「だから、俺と、一からやり直してくれないか?」

「それ、どういう意味?」

「ッ?!」



突然、背後から凄味のある声がした。


「君は……」


背後からの声に視線を向けた彼の顔が一瞬で強張った。

私は淡い期待を抱きながら、ゆっくりと視線を向けると……。


「一颯……くん」


鋭い眼差しで見据える彼は、今までに見た事の無いほど嫌悪感を露わにしていた。

そして、手にしていた配達用のお盆を通路脇の棚に置き、視線を固定したまま近づいて来た。


「俺、警告しましたよね?」

「………」

「彼女に二度と近づくなって、ちゃんと日本語で言いましたけど?」


一颯くんはねめつけるように彼を見据え、私の背後まで来ると……。