ライラックをあなたに…



「寿々さん、…………寿々さん、風邪引くよ」


彼女の肩を優しく揺すると、ゆっくりと瞼を開ける彼女と視線が絡まった。


「一颯……くん?」

「ん、………こんな所で寝てると、風邪引くよ?」

「う~ん。私、いつの間に寝ちゃったんだろう?」


寿々さんは可愛らしい仕草で瞼を擦り、ゆっくりと上半身を起こした。


「それに、何?………俺を誘ってんの?」

「へっ?」

「綺麗な脚がご自慢なのは解るけど、俺も一応『男』だからね?こんな風に露出度が多いと襲うよ?」

「………ッ?!////ダッ、ダメ、見ないで!!////」

「フッ、遅いんですけど?」


彼女は俺の言葉を理解し、素早く膝を抱えるように座り直して、体育座りの状態の膝をTシャツの中に仕舞い込んだ。


そんな風に慌てる彼女が可愛らしくて、思わず笑みが零れた。

彼女の斜め横に腰を下ろすと、


「今日は早くない?……まだ、21時過ぎだよ?」

「あぁ~それね?月末前だし、月曜だし、お客さんがあまりいないから早めに上がらせて貰った」

「へぇ~、そうなんだぁ」


Tシャツ越しの膝頭に顎を乗せ、パッチリ二重の瞳が俺をじっと見据えた。


「俺、シャワー浴びて来る」

「……いってらっしゃい」