ライラックをあなたに…



「寿々さん、なんか勘違いしてるみたいだけど」

「え?」

「『手を出す』って意味、『これ』だから」

「…………えぇ~ッ?!」


彼は再びデコピンのポーズを取った。


言われてみれば『手を出す』って、関係を持つ以外にも考えられる。

彼の言う通り、暴力的な意味合いも『手を出す』って言うよね?


まぁ、デコピンなんて、暴力のうちに入らないと思うけど。


そう考えてみると、もしかして、私……1人で物凄い事を考えてた事になる?



「わわわわっ………私………」


恥かし過ぎて、穴があったら今すぐ入りたい。

と言うより、今すぐ冬眠したい!!


考えてみれば解りそうなものよ。

こんな人畜無害な人が野獣宣言する筈ないもの。


あぁ~、ホントに最悪。

心が病んでると、思考までおかしくなるって本当なんだ。



恥かしさのあまり、膝を抱えるように縮こまっていると。


「そういう可愛らしい所、俺、結構好きだけど?」

「なっ?!」


子供をあやすように優しく頭を撫でられた。

もう本当に、この人には敵わない。

きっと、全てを見透かされてる。