ライラックをあなたに…



怪しげな表情を浮かべた彼が隣りに移動して来た。

肩と肩が触れ合いそうな距離。


『男』を感じさせる、そんな瞳に捕らわれて心臓がトクンと脈を打つ。



「俺が手を出さないとは条件に入れてないから……」

「ッ?!」


色気を漂わせた声音が耳元を犯す。

ぞくりと背筋が粟立つと同時に肩がビクッと震えた。


やっぱり、そうだよね。

何も無い訳がない。

いい歳した男女が一つ屋根の下に住んでたら、それなりの事があって当然なのかもしれない。



覚悟はしていたけど、彼の口からそれを聞いて、改めて再認識した。


……大丈夫。

何てこと無い。

よくある事よ。


ゆきずりの人とすると思えば全然マシよ。

美男子だし、性格もいいし、それに優しい。

きっと、乱暴に扱ったりしない筈。



私は1人納得し、両手をギュッと握り、


「こ、こんな私で良ければ……好きなだけどうぞ」


覚悟を態度で表すかのように、私は目を瞑って受け身の状態を作った。

すると、