ライラックをあなたに…



「寿々さんの話は解った」

「………」

「但し、条件がある」

「………はい。何でも言って?」

「フッ、………本当に何でも言っていいの?」

「へ?」



彼の言葉に思わず顔を上げると、彼は悪戯っぽく笑っている。


「ホントに何でも言っていい訳?」

「えっ、あっ……えっと……その……」


彼の瞳が妖しく光った気がして、思わず声が震え出し、視線が泳ぎ始めた。


「1つ屋根の下、血気盛んな男と………弱り切った女が、一緒に住むんだよ?」

「ッ!!」


胡坐を掻いていた筈の彼が、片手を私の前に着き、顔をグッと近づけて来た。

そんな彼の突飛な行動に思わず、ゴクリと唾を飲み込むと……。


「それでも、いいの?」

「……………えぇ、他に行く所が無いから」



私はギュッと目を瞑って覚悟した。

鼻先が今にも触れ合いそうな距離。

彼の吐息が微かに伝わってくる。


ほんの少しハーブがかった吐息が……。