ライラックをあなたに…




―――――あくる日、キッチンで



「おっ……おはよう」

「おはよう。よく眠れた?」

「うん。…………お陰様で」



寿々さんは昨日のままの姿で現れた。

昨日も見たけど、寝起きの彼女はちょっと可愛い。

昼間は凛としてるのに、寝起きだと少しあどけない感じがする。



「朝ご飯作ってるから、シャワーでも浴びて来たら?気持ち悪くない?」

「………正直言って、気持ち悪い」

「でしょ?だから、ほら!サッサと浴びて来る!!」


彼女の背中を軽く押し、荷物がある洋和室へと促すと


「お、お布団………ありがとうね」

「いいえ、どう致しまして」

「それに今さらだけど、図々しく甘えちゃってごめんね?」

「いいよ、気にしてないから」

「で、でも……」

「ほら、早くお風呂に行ってくれないと、火にかけてる鍋が噴き零れちゃうんだけど?」

「えっ、あっ、ごめん!!」


クルリと身体を反転させた彼女は申し訳なさそうな表情で、


「では、お言葉に甘えて、シャワー頂きます」

「はい、どうぞ~」


仰々しく、深々と頭を下げた寿々さん。

そんな彼女の肩を軽く叩いて、俺はキッチンへと戻った。