「今日から4月、かあ・・・」
誰もいない病室で呟いてみる
虚しく響いただけの言葉
もしわたしが健康だったら
高校生になるはずの年齢なのに
実際は病室から出られない
求める理想とはほど遠くて
この先もきっと
わたしの世界はこの中だけだろうなと
変わらない未来を想像しては
何だか笑いたくなった
「あら、起きてたの?」
「お母さん」
ちょうどお昼ご飯を食べ終わったころ
病室に来たのはお母さんだった
「今日はね、プレゼントがあるの!」
ニコニコ笑う笑顔のお母さん
プレゼント・・・?
誕生日じゃないのに?
不思議に思って首を傾げると
お母さんは鞄から包装された箱を取り出した
何だろうと思いながら受け取って開けると
なかにはあるものが入っていた
「これ、携帯?」
「そうよ?16歳になるんだもんね」
「わ、あ・・・ありがと」
まだ新品の携帯電話
これで、わたしの世界は広がるのかな?
それからはお母さんから操作方法を教わって
日が暮れるころ、ようやく一通り覚えた

