今日は体の調子がいい
いつもより軽いし食欲もある
ただでさえ病気なのにさらに体が弱いわたしは、受けられる治療法にも制限が多くかかる。
長時間の手術や副作用がきつい治療
その他にも細かいことはあるけど
ある程度の体力が必要な治療は受けられない。
もともと治療法が確立していない病気にかかっているから、さらに慎重にならなければいけない。
「今日は顔色がいいわね」
「はい、調子がいいんです」
笑顔で話しかけてくるのはわたしを担当してくれて長い看護婦。
もう10年ほどの付き合いになるだろうか
両親よりも顔を見ているくらい
小さい頃からとてもお世話になってる
「じゃあ、お昼過ぎでも調子が良かったら
中庭のほうに散歩に行こうか?」
「・・・え?」
提案されたのは想像もしていなかったことだった。
中庭へ散歩
いつぶりだろう?
少なくとも最後に散歩に行ったのは数ヵ月前だった。
わたしの生活の行動範囲は
年を重ねるごとに小さくなっていったから

