中学生の頃、智が部活のことで悩んでいたとき。

相談されて嬉しかったのに、上手く言葉をかけられなくて、私は情けなくなってしまった。


私は智のために何もしてあげられない、と。



じゃあね、智。
あなた、言ってくれたんだよ。

きっと、覚えていないだろうけれど。



『ただそばにいてくれるだけで、じゅうぶん支えられてるよ』



どれだけその言葉が嬉しかったか。

それから私たち、ずっと一緒にいたでしょう?


笑顔のときも、涙を流したときも、大きな悩みを抱えたときも。

ただお互い、そばにいたでしょう?



上手な言葉も、慰めもいらない。

下手くそなたどたどしい言葉でも、ただ隣にいることで伝わるものがあった。



以前のような関係じゃなくなっても、そばにいることだけは変わらなかったよね?


私はあなたのそばにいて。
あなたは私のそばにいてくれていた。


それがどんなふうに形を変えていたとしても、その事実に変わりはなかった。



だからね、智。

私は、今までと変わらず、ただあなたのそばにいてあげたい。


支えてあげたいんだ。