「……っは」



あれ……?

呼吸ってどうやってするんだっけ。



どうやって、立つんだっけ。

どうやって、声を出すんだっけ。

どうやって、思考をめぐらせるんだっけ。




もう、全部、わかんないや。


でも、どうだっていい。



だってこれは、きっと、夢だから。

そう。私は悪い夢を見ているの。



ねえ、そうだよね。智?




ああ、なんだか視界が揺れている。


きっと、夢から覚めるんだよね?
そうだよね?

解放されるんだ、この悪夢から。


ああ、よかった。




「……と、も」




あの頃みたいに、笑ってくれなくたっていい。

あの頃みたいに、隣を歩いてくれなくたっていい。




だからね、智。


私が目覚めたら、ただ、そばにいて。