その言葉を聞いた瞬間。
抑えていたものが、まったく違う意味を持って溢れた。
「ほん、とう……? 本当ですかっ?
智は、生きてるんですか……っ?」
「ええ、本当ですよ。
すごく危ない状態だったけれど、昨日の夜中、無事に手術を終えました」
智は、生きている。
また、そばにいてくれる。
「よかった、よかったぁ……っ‼」
安心してへにゃりと全身の力が抜ける。
あの事故で生きているなんて、信じられない。 本当によかった。
これでまた、以前のように元通りの生活に……。
「でもね」
ふわりとした笑顔とは一変。
気まずそうな顔をして看護師さんが言った。
嫌な予感がよぎる。
「……ううん、やっぱりなんでもない。
これは私が勝手に言っていいことじゃないから」
「なんですか……? 教えてください」
「ごめんね、言えない。 でも後できっと知ることになるだろうし、受け入れる覚悟があるのなら、行っておいで。
ーー佐伯さんのところに」



