ーーキキィィッ‼



耳を裂くような鋭い音。

びくりと心臓が飛び跳ねる。


顔を見上げた、その瞬間。






ドンッ



鈍い音が、響く。







「……え?」



たった今、目の前で起きたことが理解できなくてその場に立ちすくむ。





染まる染まる、彼の背中。

オレンジが、濃く、濃く……



「……ちが、う」



彼を染めるのは、
オレンジなんかじゃなくて。




「……っ」



すべてが遠くに聞こえる。

すべてが遠くに感じる。



慌ててふためく人たちの声も、車の走る音も、すり抜ける風の感覚も、目の前の光景も。



私だけ、
この世界から見放されたみたいだ。