こんな会話さっきもあったなあなんて思いながら、言うと、智はそれはそれは嬉しそうに笑って。


だから私も、自然と笑顔になった。



「実はね、去年委員会が一緒だったときからずっと気になってたんだ」


「え。 は、はじめて聞いた……」


「そりゃあ、はじめて言ったもん」



可笑しそうに笑ってから、智が言う。



「千沙は?」


「え?」


「千沙は俺のこと、どういう意味ですき?」



智の、意地悪な表情。

さっき逃げようとしたこと、きっと根に持ってるんだ。



「……友だち?」


「わ、わかってるくせに……」


「言ってくれないと、わかんない」


「〜〜っ」



素直になるのが苦手な私。

でもきっと、智なら。



「恋愛対象の、すき」



智なら、少しは私を素直にさせてくれるんだろうなあ。


そう思いながら、ちらりと見ると、智は目を細めて優しく微笑んでいて。



「よくできました」



この笑顔のためなら、私はきっと、いつもよりちょっとだけ素直になれるような気がしたんだ。