「あのさ、何があったのか詳しくは知らないけどさ」
「……んだよ」
「きみ、今すごく恥ずかしいことしてるってわかってる?」
「なっ」
「もうちょっと冷静になって、周りをちゃんと見まわしてみなよ」
「……っ」
佐伯くんの冷たい視線に……いや、それだけじゃない。
クラスメイトたちからも注がれる冷ややかな視線に、山田はぐっと悔しそうに口をつぐんだ。
「中園さん」
「……あっ、え、はい!」
状況がわからず始終、ぽかん、としていた友梨が佐伯くんの呼びかけでハッとする。
「藤江さん、顔色悪いから保健室連れて行くね。 先生に言っておいてくれる?」
「わ、わかった」
「ありがと」
そう言うと、佐伯くんは声をかけることもなく、さっと私の手をひいて。
私は、ただそれに従うようにして教室を抜け出した。



