「はあっ⁉ たん……ああっ!」
通りで尋常じゃなく痛いわけだ!
昨日できたたんこぶ!
小さくて目立たないからすっかり忘れてた……。
「昨日、倒れたときに頭ぶつけてできたんです……!
それより、早く、離してくださいぃいっ‼」
いつまで掴んでるの‼
たんこぶの存在を思い出したら余計にそこが痛くなってきた。
思わず涙目になりながら訴えかけると、そこで真波先輩はようやく「あ、ごめん」とその手を離してくれた。
……あ、ごめん、じゃない。
「何なんですか……」
「ごめんごめん、ちぃちゃん昨日倒れたの?」
「あれ、なんだ。 そこまでは噂になってないんですか」
「え?」
「私、昨日、智の事故を目の前で見ちゃってショックで気を失っちゃったらしいです」
てっきり、そばにいた私も気を失って救急車に乗せられるところを見られていて、それも噂になっているのかと思っていた。
気を失ってたんこぶをつくるなんて少し恥ずかしいから噂になってなくてよかったなあ。



