クラスの女王、麻実が笑う。
つられてクラスの連中も笑う。
セミの鳴き声と、女たちの狂ったような笑い声。
耳に纏わり付く。

「ていうかどんだけエロいの?!」
「マジでありえない!!!」
「馬鹿じゃない?あんなの着て水泳しようなんてさぁ!」

私の鞄から出てきたスクール水着は、カッターでズタズタに切り裂かれていた。
…なんとなく予想はしてたけどね。

笑いながらも、誰よりも鋭い目付きで睨む麻実が、カン高い声で話し掛けてくる。
「こんなにキモいの久々~。ホントあんたどういう趣味なの?ていうか、よく学校これるよねぇ?学校なんか辞めて、おっさんと援交した方が、よっぽどあんたの人生に合ってるよ。そのご自慢のルックスなら、さぞモテるでしょうね~。」
シャーペンと笑い声が、同時に飛んでくる。
「馬鹿じゃないの?目障りだって言ってんの。これくらい、理解できるよねぇ?まぁあんたがいると、色々とおもろいんだけどねぇ。これからもそのキモキャラでクラスを盛り上げなよ!あ、でも自分から話し掛けないようにしてね?うざいから!!!」
水着を切り裂いた張本人は、自らのグループと共にゲラゲラと笑いながら教室をでていった。

教室に残った数人は、チラリと私を見てはクスクス笑う。

…体育の単位、やばいな…

ボロボロの水着を鞄の中へ押し込んだ。