「いや、そのそれは・・・・。」

男は、言葉を詰まらせた。
そして、あたしに向かって謝ってきた。

「す、すみません。本当に出来心だったんです。
心から反省しているんで、許してください。
こんなことしていたことがばれたら、
仕事、クビになるんです。

本当にお願いします。」

えっ・・・あ、いや。

「おい。あんた、そんなんで許すんじゃねぇよ。
次の駅で降りて警察に通報しなくちゃいけねぇんだから。」

は、はい。
「あのぉ・・・。」

あたしは、そこで初めてその人の顔を見た。

「「あっ!」」「あんた、前もやられてた。」
そう、そこにいたのは、二か月前にあたしを助けてくれた。
彼だった。

「また、あんたかよ。なんで、そんなに被害に遇いやすいんだよ。
つうか、そろそろ話してくれねぇか?その手。」

あっ・・・。
「す、すみません。」