「あんた、ちょっとこっち来て。」
「は、ちょっ桃華!?」
「とりあえず、
音楽準備室にでも行くか。」
俺の腕を掴んだのは、
俺の友達、石原桃華(いしはらももか)
そして隣にいるのは、
友達の伊藤春貴(いとうはるき)。
この2人は愛羅とも友達で、
よく部活帰りに俺の部屋で遊んだりする。
ちなみに桃華は相当怒っているらしく、
グイグイと俺を引っ張り音楽準備室まで連れて行こうとしていた・・・
後ろから春貴がついてきて、
三人で音楽準備室で話すことになった。
「おい!先生にバレたらどうすんだよ!!」
顧問の先生は怒ると、
めちゃくちゃに恐い。
だからこんな所を見られたら、
ヤバい事になる・・・
「今日は先生いないから平気!
そんな事より、
あんた何、愛を泣かせてんの!?
マジありえないんだけど!!」
桃華は友達の事になると、
つい熱くなってしまうタイプだ。
ていうか、今こいつ、なんつった?
「愛羅を、泣かせた・・・?」
「そう!
愛、うっすらだけど涙溜めてた・・・
あんた、本気で何したの!?」
あいつが、
愛羅が泣くなんて・・・
別に俺は愛羅の泣いた所を見たことがないわけじゃない。
でも、
あいつが泣くのは先生に怒られている時くらいだ・・・
友達と言い合いになって、
相手が傷つく一言を言っても笑って済ませる愛羅が泣くなんて_________________
俺は、
なんだかその事実が信じられなくて、
しばらくボーッとしていた。
「おーい、悠人。
大丈夫か?」
ボーッとしている俺に、
春貴が声をかけてきた。
ハッと我にかえり、
一旦冷静になろうと心がけた・・・
「で、一体何があったの?
早く説明してよ!」
桃華にせかされ、
とりあえずこれまでにあった一部始終を、
2人に説明する事にした。
